楽喜舎日録

2013年1月から始めた「楽喜舎」(らっきしゃ)の日録。日々の暮らしからみえてくるものを発信します。日々実践!

持続可能な社会とは


人工社会―エコビレッジを訪ね歩いてという本を読みました。
著者のリック・タナカさんは、田原総一郎さんと
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投稿されています。
現在オーストラリアで生活しておられ、石油のピークアウトの問題、
パレスチナ問題などを論じています。


この「人工社会」という本は、オーストラリアに
1000箇所以上あるというインテンショナル・コミュニティ
(意図された社会)をいくつか訪ねて歩いたレポートです。
このインテンショナル・コミュニティとは一昔前には
コミューンと呼ばれていたようなものと捉えて
大きな間違いはないと思われます。


わが国にもコミュニティを作ろうとする動きが
たくさんありますが、オーストラリアはさらに進んだ形を
作り、実践している人々がいます。
都市生活に疑問を持ち、自分の生活を見直したときに、
ある考え方に共感する人々同士で新しい社会、
理想的な社会を作ろうとする動きは出てくるものだと思います。


インテンショナル・コミュニティには、多様な形態があります。
タスマニアに、コモンハウス(共有館)を中心として、何軒かの家が
集まっている形をとるカスケード・コハウジングという
コミュニティがあります。
14世帯、25人の人が共同生活をしています。共同生活といっても
普段はみんな町に働きに出ていたりするのですが、家が狭いため
コモンハウスで週3回の夕食会をしたり、洗濯や食品の共同購入も
コモンハウスでできるようになっています。


このコハウジングは、なるべく共同体内部の人々と顔を合わせられるような
設計になっているため、否応なしに互いに関心を持って
接しられるようになるということです。
シドニーなどの都会では味わえなかった人と人との交流が
自然にある、という話でした。


人工的に共同体社会を作らねばならないところにまで個人が
追いつめられているのかと思う反面、こういった理想を現実にしようと
動いている人たちを知ると、現場にこだわっている私としては
とても面白いです。


こういった本を読むことは、人間の作る社会を考える上で
参考になります。自分がおぼろげながら考えていることをすでに
実践している人がいて、実際に成功もし、失敗もしているというのは
勉強になります。


忘れてはならないなと思った言葉を引用しておきます。



「どこの共同体社会にも、普通の社会と同じような問題があり、
完璧なものなんかない。人間なんてしょせんいい加減なもので、
どんなに理想の楽園を描いてみたところで、既存の社会よりましかも
しれないが、人口の社会だっていい加減だ。」


計画され、完成されたものがそこにあるのではなく、
やりながら改善してゆく形が自然なのかな、と思います。
何かを始めるときに、完璧さを求めるよりは、描いている形を
胸に描いてそれに進んでゆけばよいのかもしれないな、
と思わせてくれる一冊でした。