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楽喜舎日録

2013年1月から始めた「楽喜舎」(らっきしゃ)の日録。日々の暮らしからみえてくるものを発信します。日々実践!

ポリティコン

15歳の頃から、何かに絡めとられてしまったようで、
「共同体」「コミューン」という言葉に敏感に反応してしまう。
そんな話をしていたら、本書を紹介された。


早速読了。上下巻あわせて800ページ以上の大著だが、
一気に読んでしまった。

簡単なあらすじとしては、「新しき村」などと同時期、
大正時代に作られた「唯腕村」が、70年経って衰退基調にあるが、
創立者の孫が共同体の維持に奮闘するというもの。


主人公の高浪東一があまりに独善的で、権力欲、支配欲が強すぎるので
読むのが少ししんどい。
しかし、あらゆる共同体に起きるであろう事件がスピード感あふれる筆致で
描かれている。
「う〜ん、あるある」と何度もうなづいた。


結局、人間は理想を描きながらも衣食住という根本的なところの欲求によって
理想通りにいかない、ということを思い知らされる一作。
仲間だと思っていた人が裏ではこそこそ何かをしているという部分は、
身につまされる。


ユートピア(理想郷)という言葉の対義語としてディストピア(絶望郷)という言葉が
現れるのだが、理想を描いて挫折していったたくさんの仲間たちの顔を思い浮かべて
切なくなってしまった。


新しい共同性というものがそれなりにクローズアップされている昨今、
小説ではあるものの現実におこることと限りなく近い実態が描かれている
本作を読むことで、共同体へのまなざしが深まるかもしれないなと思った。

蛇足だが、本作では唯腕村の農業として、有機農業と自然農法が描かれている。
登場人物の話す内容がいかにも!という感じ。新規集農希望者が村にきて交わす会話も、
まさしく!といった会話である。
筆者にはこんな風に見えているんだな、と内容とは関係ないところで感じることができた。