楽喜舎日録

2013年1月から始めた「楽喜舎」(らっきしゃ)の日録。日々の暮らしからみえてくるものを発信します。日々実践!

「科学的」って何だ!


「科学的」って何だ! (ちくまプリマー新書)

「科学的」って何だ! (ちくまプリマー新書)


惑星物理学者の松井孝典と、南伸坊の対談。
筋道を立てて考えることの確かさを知った。


松井は、「人間圏」という概念を使い考える。
人間圏とは、地球をシステムとして考えた場合、
現生人類の生き方による地球上での存在を
表現したものである。
これを、地球システムの一つの構成要素として、
生物圏とは分けて考える。


グローバリズムが正しいか、正しくないか、という問題に
対しては、「宇宙から見ると」どちらでもない、と松井はいう。
「人間圏」は、存在そのものの表現なので、
そこに正しさはない、というのだ。
アメリカの人を信用しないシステムと、
日本のあいまいなやり方、それぞれが存在しているだけだ、という。
それを、アメリカがスタンダードだ、正しいのだ、と
錦の御旗を掲げるのはどうなんだろう。


では、「宇宙から見る」とはどういことか。
1 俯瞰的に見る
2 相対的に見る
3 普遍的に見る
この見方をとれば、問題の本質が
どこにあるか見えてくるという。


なかなか簡単にまねができる考え方ではないけど、
意識していれば自分が少し楽になるかもしれない。
ひょっとすると、前提を考えすぎてまたまた
しんどくなるのかもしれないが。


「科学的」という言葉に弱い私たち日本人については、
「疑う、疑問を持つ」ことが必要だという。
相手の主張の前提、根拠は何か。
その根拠は正しいのか。
そう考えていかないと、外界の事象、大衆の流れに
簡単に呑み込まれてしまうだろう。


松井の話に対する南の反応もとても面白い。
人の話をこんな風に聞けるのは楽しいだろうな、と思う。