楽喜舎日録

2013年1月から始めた「楽喜舎」(らっきしゃ)の日録。日々の暮らしからみえてくるものを発信します。日々実践!

評伝宮崎滔天

評伝宮崎滔天

評伝宮崎滔天

を、とうとう購入した。逡巡を重ねたあげく、著者渡辺京二の方法を学びたい、宮崎滔天の生き様について知りたいという思いを抑えることをやめて注文した。昭和50年が初版で、2006年に新版が出ている。今の売れ筋の本とは違って、目次も大枠だし、見出しも小見出しもなく、たんたんと文章を連ねている。読んでいて静かに熱い気分になってくる不思議な本である。
宮崎滔天は、孫文に最も尊敬された日本人というキャッチコピーもつけられているほど中国革命成就に貢献した日本人なのだが、志は破れ浪曲師になり51歳で生を終える。学生時代に、三十三年の夢 (岩波文庫)を書店で必死に探して読んでみたが、当時は日本人が中国革命に「支那浪人」といわれながら参画していたとは知らず、アジア主義に対しても無知だったので、その本の意味も分からず、ただ宮崎滔天の熱情に浮かされるように読み流しただけだった。
渡辺京二は、
逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

に出会ったことがきっかけで読み始めた。この人は、残された文献から様々な要素をくみ出して時代を浮き彫りにするのが得意なのか、読んでいると自分が明治始めにいたような気にさせる。その上、自分の主張もきちんと書き込んであり、文章読本としても力になる本だと思っている。
熱き思いを持って、静かに行動することを学びたい。